おはようございます。
7月4日投開票の東京都議会議員選挙、渋谷区から立候補している龍円あいりです。
「性の多様性があることが当然のこととして配慮が行き届いた社会」
私の主要政策として進めてきたのが、LGBTQ+政策です。
2017年に都議会議員としての任期が始まった当初、東京都においての状況は、私にとってはにわかに信じることができないほどの差別的な状況にありました。
2017年:東京都ではLGBTQ+の存在が公的には認められていなかった
行政において一番の問題点は、多くの方には提供される行政サービスが、LGBTQ+当事者の皆さまには提供されなかったり、必要な配慮がされないことにあると思います。2017年にそのことを東京都の男女平等参画、福利厚生、教育、住宅政策、社会的養護など様々な分野の担当者さんと話してまいりました。そして一様に衝撃的なことを言われたのです。
「東京都ではLGBTQ+の方々がいらっしゃるということを行政機関として認めていない。そのため、存在していない人たちのためのサービスが提供できない」
あまりに驚いて「東京レインボープライドのパレードには何万人もが歩いていますが、あの方々が”存在していない”とおっしゃられるのですか?!」と聞くと、「いないと思っているわけではない。ただ行政の中で公的に位置付けがないという意味である」との認識を示されていました。
この話を聞いたときに、頭を抱えたことを思い出します。「そこからのスタートなの?!」と。
私は多様な性や家族のあり方が前提となっている国で育ちました
私自身のことを書くと、私は性に関して世界で最先進国であるスウェーデンで生まれ育ちました。
思い返せば、小さい頃よく遊んでくださっていた近所のおばさまは、同性のパートナーと、家族として暮らしていました。子どもの私はそのご家族のことを、「一家族」として疑問もなく見ていました。
スウェーデンは多様な家族のあり方が存在していたと思います。そもそも第一子を迎えたカップルの9割が結婚していないという国ですので「婚姻関係」にあることを家族と定義すると、まったく成り立たないのです。スウェーデンでは幼稚園時代から年齢相当の性教育が始まります。性のあり方が多様であることは、性教育としてももちろん教えるようですが、もっと「自然なこと」として他の授業の中で出てくるようです。例えば、算数のテストの設問の中に「そこにゲイのカップルがやってきました。部屋には何人いるでしょう?」という感じで記載されるようです。同性婚が法整備されたのが2009年です。(もう12年も前ですね)
アメリカで暮らしていた時代も、多様な家族のあり方に寛容でした。子どもが生まれるカップルが結婚しているかどうかは問われることなく、子どもにとって両親が誰であるかと登録するという方式での戸籍登録方法でした。我が子にはダウン症があったので、障がいのあるお子さんを育てている方々との付き合いがありました。養子縁組で障がい児を迎えて育てているカップルが驚くほどたくさんおられました。中にはママが二人いるお子さんもいましたが、あまりに当然のこととして扱われていたので、友達になってから半年くらいしてから「日本にはママ二人が障がい児を養子縁組で迎えて育ててる家庭というのは珍しいのかもしれない」と気がついたほどでした。
多勢の当事者の方々からLGBTQ+について一つ一つ教えていただきました
東京都で「位置付けがない」と言われたLGBTQ+の存在を認めてもらうために、まずは一人でも多くの当事者の方から話をうかがわせていただくことから始めました。渋谷区は日本で初めて同性パートナーシップ制度を創設した自治体です。制度の創設に関わった立役者の皆様にお会いすることから始めました。
そして分かったことがありました。LGBTQ+性的マイノリティの方々について「理解した」なんて言い切れる日は、永遠にこないということです。
性の在り方はグラデーションであり、驚くほど多様であり、10人いれば10通りと言えるほどのもので、「これで理解できた」などと思った途端に、何も見えなくなってしまいます。
だからこれまで政策を進めるにあたり、私は必ず複数人の当事者の方々にご意見を聞きながら進めるようにしてきました。
■2018年春 都庁の全庁横断的にLGBTQ+に取り組む部署が創設された
東京都の中でLGBTQ+性的マイノリティの方々の「位置付けがない」という衝撃的な話を聞いてから、まずはそれを位置付けることを求めることから始まりました。
がしかし!当時、LGBTQ+に関する質問をしようとすると先輩議員から「LGBTQ+に関する質問をするのは都議会ではタブーになっている」というような説明があり、さらに驚いたのをおぼえています。私の会派の政調会事務局に「質問させないとはどういうこと?!」とかなり興奮気味に同僚議員と一緒に説得しに行きました。
都議会でLGBTQ+に関して私たちが騒いでいるのが都知事にも報告が上がり、東京都として何ができるか検討に入ってくださいました。当時は総務局長だった多羅尾現副知事がかなり動いてくださったと聞いております。
龍円あいりの2018年の一般質問では、LGBTQ+に関して都庁を横断的に取り組む部署が必要なことを訴え、実現されました。
●龍円質問
LGBTを初めとする性的マイノリティーに対する差別とは、一体どういうものなのでしょうか。あからさまなヘイトスピーチなどは、もちろん禁止されるべきです。しかし、行政においては、社会資源へのアクセシビリティーの障害を取り除いていく必要があると私は考えます。例えば、同性カップルが公営住宅に入居できなかったり、DV相談を聞き入れてもらえなかったり、家族をつくりたいという、人としては本当にごく普通の希望があっても、かなわなかったりします。トランスジェンダーの方は、更衣室やトイレの利用に困ったり、制服に抵抗を感じたり、またスポーツ時に苦痛を感じながら生活をしています。また、子供や若者が自分の性に悩んだときに、安心して相談できる場や人がいないことが、自殺へつながったりもしています。都は、オリンピック憲章を正面から受けとめて、LGBTを初めとする性的マイノリティーの方々の困り事に対応できるよう、総合的な窓口を設けるなどの体制をつくっていくべきだと考えますが、見解をお願いします。
●総務局長(多羅尾光睦さん)
LGBTの方々への対応についてですが、都は、LGBTの方々も含め、誰もが希望を持って生き生きと生活ができ、活躍できる都市、すなわちダイバーシティーの実現を目指しております。お話のように、LGBTの方々が直面する課題は多岐にわたり、都においても、庁内のさまざまな部署で対応が求められております。今後、各種の施策を進めるに当たっては、都全体が性について多様性があることへの理解を深め、LGBTの方々に配慮して事業を実施していくことが必要でございます。そのため、総合的な調整を行う担当組織を設け、庁内各局がLGBTに関する情報を共有し、連携して施策を推進する体制の整備を図ってまいります。
2018年秋:東京都でLGBTQ+当事者を「存在として位置付け」して「差別を禁止した」条例(都道府県初!)
その結果、都道府県では初となる、いかなる性自認および性的指向による差別も禁止した条例が制定されました。(通称:東京都人権尊重条例)
こちらは人権尊重条例の審議がなされた日に傍聴に来られていた皆さまのコメントです。
この条例の画期的なところは「差別を禁止した」ところです。この条例ができたことによって、ようやく、東京都という行政においてLGBTQ+の存在が公的に位置付けられました。
しかも差別をしてはいけないのですから、この条例を根拠にして、様々な政策を前に進めることができました。
●里親の認定基準の見直し(同性パートナーのいるシングルでも養育里親になれることに)
●都立病院で同性パートナーについても面談や医療的判断が可能に
●学校現場での人権教育にLGBTQ+がトピックに
●性自認および性的指向に関する悩み相談窓口を電話とLINEで解説など
■2019年 全庁横断的にLGBTQ+に関する取り組みをまとめた「基本計画」が策定された
基本計画では私の意見も多数聞きいれていただいたものが策定されました(LINE相談など)。
■2021年春 同性パートナーシップ制度創設の必要性を会派内で訴えました
東京都では差別を禁止する条例が出来たものの、それでは解決できない問題があることにすぐに気がつきました。
それは、パートナーとの関係を公的に受け止めて認める「パートナーシップ制度」の創設によってしか解決できないというとです。
これは都民ファーストの会の中でのプレゼンテーションのために作成した資料です。
ありがたいことに、プレゼンテーションを聞いた都民ファーストの会の政調会長が会派として議論を進めてくれ、都民ファーストの会として同性パートナシップ制度導入に向けて進めることになりました。
■2021年春 同性パートナーシップ制度を求める1万8000筆の署名を小池都知事に届ける
「東京都にパートナーシップ制度を求める会」のみなさんとともに、都知事に署名を届け、制度応接の要望をしました。
代表の山本そよかさんは本当にみなさんのために本当に頑張ってくださいました。
松中権さん、杉山文野さんは、まさに渋谷区の制度創設に携わったお二人です。
この頃から、都知事はパートナーシップ制度創設に前向きな姿勢を徐々に見せてくださるようになりました。
「東京都にパートナーシップ制度を求める会」の皆様から都議会に請願が提出⇨趣旨採択
東京都議会には、東京都にパートナーシップ制度の創設を求める請願が提出されました。
私は紹介議員として署名をさせていただきました。
この請願については、たくさん裏のストーリーがありますが、それはこちらの動画で見ていただければ。
■2021年5月29日「東京・渋谷ミライ会議」で都知事に調節パートナーシップ制度を訴え
私が主催する公開政策議論「東京・渋谷ミライ会議」に、小池都知事と長谷部健区長に参加いただきました。
そこで同性パートナーシップ制度を具体的に導入することについて検討する旨の発言がありました。
■2021年6月2日 東京都議会本会議で都知事が制度導入を公的に明言
この日、とうとう都民ファーストの会の代表質問に「パートナーシップ制度の創設をするべき」との質問に対して、小池都知事から公式に東京都におけるパートナーシップ制度の導入することが示されました。
東京都議会議員として1期目の任期中に、東京都がパートナーシップ制度の創設する道筋をつけられたのは、本当によかったと思っています。
これもひとえに活動を続けてこられた当事者の皆様の並々ならぬ努力によるものです。
■今後 パートナーシップ制度の早期創設、LGBTQ+先進都市の東京を目指す
今後ですが、まずは東京都に、早期にパートナーシップ制度を確実に制定することに取り組んでいただく必要があると思います。
東京都差別禁止条例とパートナーシップ制度が実現したので、枠組みは出来たと思います。
あとはコツコツとこの2つの制度を根拠として、東京都からあらゆる差別をなくし、配慮を行き渡らせていく必要があります。
今後もこの取り組みを進めさせてください。